2024.10.18
【マクロレンズで楽しむ!花と昆虫の撮り方】レンズの選び方や使いこなすコツをご紹介
【マクロレンズで楽しむ!花と昆虫の撮り方】レンズの選び方や使いこなすコツをご紹介
マクロレンズの魅力とは?
具体的な撮影方法の前に、マクロレンズの特徴をいくつか押さえておきましょう。こうした特性を知っておくと、より効果的にマクロレンズの魅力を引き出すことができます。
マクロレンズの特徴
マクロレンズの最大の特徴は、最大撮影倍率が大きく、最短撮影距離が短いことです。これにより、通常のレンズ以上に被写体へ寄ることができます。その結果、細かい部分を大きく写真に写すことができるのです。
等倍マクロとハーフマクロ
マクロレンズは、最大撮影倍率が等倍(1:1)の「等倍マクロ」と、最大撮影倍率が1:2の「ハーフマクロ」の2種類が一般的です。
最大撮影倍率とは、センサーに写る像の最大の大きさと、被写体の実際の大きさの比率を表した数値です。等倍は、実際の大きさとセンサー上の像の大きさが等しいことを意味します。
花の撮影では、等倍マクロを用いることで、花びらを走る脈や細かい産毛、花粉など微細な部分を精緻に捉えることができます。
一方、ハーフマクロは等倍ほどディテールを大きく写すことはできませんが、被写体と背景のをバランスよく取り込んで撮影しやすいという利点があります。風景の中で一輪の花の形状や色彩を引き立たせるような、絵画的な表現ができます。
小さな世界に没入する
マクロレンズは被写界深度が浅いため、ピントの合う範囲以外を大きくぼかすことができます。そのため、ピンポイントで主題を捉えつつ、前後のボケを上手く重ねて、まるでミクロな世界に入り込んだかのような迫力ある写真を撮影できます。
ディテールに大きく迫る
マクロレンズを使えば、小さな被写体や表面の質感・微細なディテールまでを大きく写し出すことができます。肉眼では見ることが難しい精巧な構造を捉え、見る者の好奇心を刺激するような作品に仕上げることができます。
マクロレンズで花を撮影するコツ
マクロレンズを使って花をきれいに撮影するには、いくつかのコツを押さえておく必要があります。ここでは、花の撮影に適した露出設定や構図、ピント合わせなどを解説します。
花の撮影に適した露出設定
ボケ感を重視する場合は、絞り優先モードを活用しましょう。開放に近いF値に設定することで、明るめで美しいボケの写真が撮りやすくなります。
シャッタースピードを調整する場合は、1/200から1/500秒程度を目安にすると、被写体ブレや手ブレを抑えやすくなります。
ISO感度は、明るい屋外ではISO 200から400程度が目安となります。写真が暗めに見える場合はISO感度を上げるようにしましょう。
また、写真の明るさは露出補正を加えて調整するのもおすすめです。露出は撮影する環境や機材によっても変わるため、上記を参考に、撮影しながら調整してみましょう。
関連記事:【一眼カメラの基礎知識】露出や構図など撮り方のポイントを解説
ピンポイントに主題を決める
構図を工夫することで写真にメリハリを加えることができます。
花を写真の中心に配置する日の丸構図は撮影しやすい反面、平凡な印象になることも多いです。その際には三分割構図もおすすめです。前ボケや背景ボケを取り入れることで、視線の動きを作り出せます。バランスの良い写真を意識して、撮影してみましょう。
関連記事:【初心者の方必見】上手な写真を撮るための構図・アングルの基本を分かりやすく解説!
アングルを変えて迫力を演出
光の当たり方も花の印象に影響を与えます。花の質感を繊細に表現するには、日陰などのやや光が弱い場所がおすすめです。強い光が当たると、ディテールが潰れて見えにくくなってしまう場合があるためです。
一方、逆光で撮影すると、光が花びらを透過し、透明感のあるきらびやかな美しさを表現できます。光の加減によっては、産毛で散乱した光も加わり、よりファンタジックな雰囲気を感じられるでしょう。
このように、光の向きを変えて撮影することで、花の様々な表情を引き出すことができます。
花が風で揺れる場合の対処法
花の撮影では、風で花が揺れて被写体ブレが発生してしまう場合があります。風のある日は、シャッタースピードを速めに設定することで、被写体ブレを最小限に抑えることができます。
一方、曇天の場合は、シャッタースピードを速くすると写真が暗めになってしまうかもしれません。その場合は、露出補正を加えて明るさを調整しましょう。
また、連写機能を活用することで、被写体ブレの少ない写真を撮影しやすくなります。
マクロレンズで昆虫を撮影するコツ
ここからは、昆虫をマクロレンズで撮影するコツをご紹介します。昆虫撮影に適した露出設定やレンズの選び方、ピント合わせなどを確認しておきましょう。
昆虫の撮影に適した露出設定
静止している昆虫を撮影する場合は、絞り優先モードを活用しましょう。輪郭をシャープに捉えるためには、絞りを開放からF4やF5.6程度まで絞って撮影してみるのがおすすめです。
一方、素早く動く昆虫を撮影する際は、シャッター優先モードを使うと良いでしょう。たとえば、ミツバチなど飛び回る被写体は、約1/1000秒程度かそれ以上の速いシャッタースピードで撮影することで、動きを止めやすくなります。
また、葉の裏側や木陰に隠れるような昆虫もいます。できるだけ開放F値の小さい明るいレンズを使うと、暗い場所でも鮮明な写真を撮影しやすくなります。
昆虫の目や中心となる要素にピントを合わせる
花と一緒にミツバチや蝶を撮りたい、という方も多いのではないでしょうか。素早く飛び回る昆虫を撮影する場合は、あらかじめ目星をつけた花にある程度ピントを合わせ、昆虫が飛んでくるのを待ち構えましょう。
ミツバチが近づいてきたら、連写機能を使って素早く撮影します。一回できれいな写真を撮ることは難しいため、忍耐強く、何度もシャッターを切りましょう。
真横や下からのアングルで撮影する
花の撮影と同様、昆虫の撮影でもアングルを工夫してみましょう。上から見下ろすアングルでは、標本のように背中の模様や輪郭の幾何学的な美しさを捉えられます。
一方、真横や下から見上げるアングルでは、昆虫の世界に入り込んだような、ダイナミックな写真を撮影できます。また、撮影ポジションを低く構えることで、昆虫が生息している自然環境を捉えることも可能です。
関連記事:【初心者の方必見】上手な写真を撮るための構図・アングルの基本を分かりやすく解説!
光の向きで被写体の印象を変える
光の向きによって昆虫写真の印象も変わります。
まず、ディテールをくっきりと写す場合は、日陰など光が少し弱い場所を探してみると良いでしょう。日差しが強すぎると、昆虫の体表面で光が反射し、ディテールが見えにくくなる場合があるためです。
また、順光で撮影すると、昆虫の表面の質感や光沢感を美しく捉えることができます。
一方、羽根などの薄い組織を持つ昆虫は、逆光で撮影することで、透明感のある構造の美しさが強調されます。昆虫の特徴に合わせて、光の向きを選ぶようにしましょう。
構図を工夫する
昆虫撮影でも構図は重要な要素です。花や草木を前ボケや背景ボケとして取り入れることで、昆虫の世界を覗き込むような臨場感が得られます。
また、昆虫を正面から撮影する場合は、体の対称性や形状を活かした構図も印象的な写真になります。三角形に近い形状は三角構図、丸い形状は日の丸構図など、昆虫から感じる印象をそのまま写してみましょう。
その他、三分割構図などを意識して昆虫と背景を配置することで、バランスを取りやすくなります。昆虫の姿形や動きに合わせて、様々な構図を試してみましょう。
花や昆虫撮影に適したマクロレンズの選び方
花や昆虫をマクロレンズで撮影する際は、レンズの特徴を理解し、撮影の目的に合ったものを選ぶことが重要です。ここでは、マクロレンズを選ぶ際のポイントをご紹介します。
最短撮影距離
マクロレンズの最短撮影距離は、焦点距離によって異なります。焦点距離が約80mm以上の望遠マクロレンズは、花や昆虫撮影だけでなく、多くの撮影で万能に使用できます。被写体からある程度離れた位置から撮影できるため、警戒心の強い昆虫も撮影しやすくなるでしょう。
関連記事:レンズの種類と選び方の基礎知識 - 初心者の方におすすめのレンズもご紹介!
開放F値
開放F値がF2.8以下と小さいレンズは、曇天時の撮影や、速いシャッタースピードでも明るめの写真を撮影しやすくなります。
また、開放F値が小さいレンズは大きなボケを得やすく、被写体を際立たせることができます。花や昆虫撮影では、ボケを活かすことで、被写体の魅力をより印象的に引き出すことができます。
関連記事:F値(絞り値)とは?設定例やシャッタースピード、ISO感度との関係まで徹底解説
重さや持ち運びやすさ
花や昆虫の撮影では、カメラを持ち歩いて様々なアングルからの撮影を繰り返します。そのため、コンパクトで取り回しの良いレンズが使いやすいでしょう。コンパクトなレンズは持ち運びしやすいだけでなく、気になった被写体にすぐにカメラを構えることができます。辛抱強く昆虫の動きを待つ際にも、体の負担が軽減します。
また、できるだけ軽量なレンズを選ぶことで、手持ち撮影時の手ブレ抑制にもつながりやすくなります。
オートフォーカス(AF)性能
オートフォーカス(AF)の性能も確認しておきましょう。AFがすばやく正確に合うことで、シャッターチャンスを逃さずに撮影できます。また、昆虫をモーター駆動音で刺激しないためにもAFの静寂性も重要です。
ただ、マクロ撮影ではAFが合いにくいシーンもあり、マニュアルフォーカス(MF)も多用します。そのため、MF時のフォーカスリングの操作性もチェックしておきましょう。
タムロンのAF技術を詳しく見る >
防滴構造
花や昆虫の撮影では自然環境に入って撮影することが多々あるため、レンズに防滴構造があると安心です。レンズに防滴構造があれば、多少の雨があってもレンズへのダメージを最小限に抑えることができます。
花や昆虫撮影におすすめのマクロレンズ
「タムキュー(タムQ)」の愛称で長年親しまれているタムロンの90mmマクロレンズは、解像度の高さや美しいボケ、使いやすさが特徴で、花や昆虫のマクロ撮影にも愛用されています。その他、ハーフマクロレンズも多くラインアップされていますので作例写真なども確認して、撮影目的に合ったレンズを見つけてみてください。
関連記事:タムロンの90mmマクロレンズタムキューの歴史 - TAMRON
等倍マクロ(1:1)対応レンズ
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90mm F/2.8 Di III MACRO VXD f072(Model )
90mm F/2.8 Di III MACRO VXD (Model F072)は、長年「タムキュー」の愛称で親しまれてきたタムロン90mmマクロレンズのミラーレス版です。高い解像力と光学性能を誇り、タムロン初の12枚羽根の円形絞りが、美しい玉ボケと光芒表現を実現します。軽量・コンパクトなデザインで気軽に持ち運べ、新型の窓付きフードでフィルター操作も容易です。さらに、TAMRON Lens Utility™に対応し、高速・高精度AFを搭載したこのレンズは、写真と動画撮影の可能性をさらに広げます。伝統の描写力と最新技術を融合させた、新たな「タムキュー」の歴史を切り拓く一本です。
ハーフマクロ(1:2)での撮影が可能なレンズ
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50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD a067(Model )
50-400mm F/4.5-6.3 Di III VC VXD (Model A067)は、広角端50mm始まりでズーム比8倍、フルサイズミラーレス一眼カメラ対応の超望遠ズームレンズです。50-400mm全域で妥協のない高画質を実現するレンズでありながら、100-400mmクラス同等の小型・軽量サイズを達成。リニアモーターフォーカス機構VXD、手ブレ補正機構VCを搭載し、スポーツや野鳥などの撮影で、被写体の動きに素早くピントを合わせられます。近接撮影能力にも優れ、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影も可能です。Model A067は、圧倒的な高画質と機動力を兼ね備えた新しい超望遠ズームレンズです。
※50mmから70mmまで最大撮影倍率1:2を達成し、被写体に存分に近づいたハーフマクロ撮影をお楽しみいただけます。
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20mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f050(Model )
F/2.8の明るさと高い近接撮影能力を合わせ持つレンズが登場。Model F050は超広角撮影を本格的に楽しめる20mmの単焦点レンズです。最短撮影距離0.11mまで寄れば、未体験の超広角世界を楽しむことができます。
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24mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f051(Model )
“驚異的に寄れる”広角単焦点レンズが登場。Model F051は広角写真のバリエーションを広げる焦点距離24mm、最短撮影距離0.12mを実現しています。撮影のフットワークを軽くする小型・軽量設計でスナップに最適なレンズです。
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35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 f053(Model )
ミラーレス専用設計のソニーEマウントレンズシリーズに単焦点35mmが登場。Model F053はF/2.8と大口径でありながら最短撮影距離0.15mまでの近接撮影が可能。被写体が引き立つ美しいボケを楽しむことができます。